Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

と、ふた声、三声。

そして、その影が、さも、苦しげに、しばらくの間、けいれんしていた。

すると、やや間を措いてから、四辺の深夜の空気が、どことなく、うごいた。そうかと言って、べつに、何の物音もしたわけではない。

ただ、五、六間先の、柳の樹の蔭から、白い女の手が、路向うの軒先へ向って、しきりと、手招きをしているのが、ちらと、見えた。

と――そこの天水桶の見える軒下から、ひとりの、男のすがたが、のっそりと、歩いて来た。暗やみから牛を曳き出したという形容は、この男のためにできていると言ってもいい。肩の肉の厚い、顔のまろい、足の太い、ずんぐりとした田舎漢だ。

同時に、柳の蔭から、それにあわせて、忍び足で、そろり、そろり、と前へすすみだした女は、夜目にも鮮らかな、美人だった。顔は、頭巾につつんでいるが、蛍のような眸が、その蔭から、怖ろしい微細な注意力をもって、刺しちがえて倒れているふたりの影を見まもっている。

死を粧って、大地の下から、そっと、薄目でそれを見ていた加山耀蔵は、思わず、あっと、声を出しそうになった。

花世だ。いや、花世とそっくりな女。――いつぞや、郁次郎を江の島から護送して来る途中、捕まえ損ねた怪美人だ。