Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

「捕った!」

と、拯いあげた。

「あっ! ……」

と、ふたりは、雷に衝たれたように、絶叫した。狼狽と驚きに、色を失ってよろめいたが、玉枝は、咄嗟の手に、短い刃を閃めかせて、彼につかまれた袂の根を、ふつりと断ッて、逃げ出した。

「おのれッ。女狐!」

手には、断られた片袖を。そして、夜風のなかに、腮の白髯をふたつに割って、奮然と、追いかけた老先生。

逃がしてなろうか?

顔、すがた、頭巾まで、花世に瓜ふたつなこの怪女性こそ、あらゆる謎を解く魔術師の銀の鍵だ。

今も、女は、首領ということばを呟いたが、そも、彼等のいう悪の一味の首領とは何者であろうか。その黒幕の首領が、ここへ見えないうちに、女を召捕ってしまわなければ、機は、ふたたび、遠く去るであろう。

老先生は必死だ。

この女さえ捕縛すれば、急転直下な事件の解決は望み得ないまでも、ともかく、夜明けと共に、刑場の露となる愛子郁次郎の一命だけは、しばらく、先へのばすことに、有力な生証拠とすることができる!

駈けた! 老躯をわすれて、彼は駈けた。

――だが、若い女の、柔軟性に富んだ跳躍とは、比較にならない。玉枝は、柳の樹から柳の樹を縫って、美しい水禽のように、河に添って、すばやく、走りつづけた。