Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
「あ……そ、それですか。それはあの……何でもございません。鉄漿を解く時に、指を入れて、汚したまま、つい拭きもせずに置きましたので」
「あ、そうか」
と、乾坤堂はつまらなそうに、手を離して、
「あなたは、愛してござる男と、絶えず離れておる象じゃ。それがよくない。去る者うとしという例に洩れぬ方じゃ。なるべくその男の側を離れぬがよい。殊に、土地を離れたらこの縁は切れますぞ」
女は、くどく様々な問を出して、やがて帰って行った。下足番の男は、すぐに戸を閉めて、
「老先生、何だって、網にかかってきたあの玉枝を、みすみす返してしまったんです」
と、食ってかかるように問詰った。
同時に、隣の部屋からも、
「惜しいことをした。今に、老先生が、それっと言ったら、ふん捕まえてやろうと腕をさすっていたのに」
と、言いながら、出て来た者がある。
それは舟辰であり、下足番の男は、千吉だった。
四十二、三の好色家らしい売卜先生は、実に、白髯を剃り落して、頬綿をふくみ、音声まで巧みに変えた塙江漢なのであった。
「いや、それはいけない。――あの女の住居の近くに、こんな売卜をはじめたのも、玉枝を誘きよせる手段には違いないが、今ここで女に縄を打てば、すぐ一方の敏感な悪魔の首領を逃がしてしまう。