Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

「いったいそれは、どこの何人でござりますか」

「名をいえば、お前も知っていよう、大坂町方役では錚々の聞えある若与力、羅門塔十郎だよ」

「えっ、羅門塔十郎が、いま江戸表へ来ておりますか」

「あれや、大塩の洗心洞出身で、いわば、藍より出でて藍よりも濃い男、その上にまだ勉強する気で、こっそりと東都に居をかまえ、お膝下の奉行所の組織、番屋川筋見張等の配置から、江戸流捕物術と上方流との比較など、なかなか研究しているらしい上に、余暇には聞えのある学者を訪ね、谷文晁の画塾へ通ったりして、絵などもやっているという話、わしの所へも一、二度やって来たが、どうも若いに似あわん落着きのある人間だよ。ああいうのが鬼才というのだろう」

「ちっとも存じませんでした」

「礼をつくして、いちど相談してみるがよい」

「そういたしましょう」

「じゃ、わしはあちらに、伜の許嫁花世さんが、何か用事があって来ているらしいから、これでご免をこうむるよ」

と、老先生は愛縄堂を出て、

「オオいい秋日和じゃの。……郁次郎もこのぶんでは、道中つつがなく、帰府の旅をいそいでおるじゃろう」

と空を仰いでも、親心に、やがて長崎から帰るわが子のことを思いながら、歩調ゆるく、養生所の方へ行ってしまった。