Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
その途中、彼は、幾つもの燭台を蹴倒した。騒ぎに乗じて、火災を起すつもりらしい。残月の庭は、たちまち、入りみだれる剣と、人影と、そして時々、それを掠める蛍火のような火の粉と、黒煙が流れた。
「八弥! 波越八弥! 八称はおらぬか。八弥を呼べ……」
脾腹の血汐を抑えながら、老先生は、必死な声で、求めていた。
「オオ!」
と、色を失って、駈けこんで来た八弥は、苦悶に転々する彼の老躯をかかえ起して、
「老先生、八弥です! 波越です!」
「八弥……。わしの傷は浅いぞ。わしは死なぬぞ」
「は、はい、浅うござります」
「縛れ。わしの傷口を、かたく、かたく、縛れ。――そして大急ぎで、わしのからだを、南町奉行所まで連れてゆけ」
「うごいてはお悪うございます。老先生、どうか、静かに」
「ええい、たわけめ。そんな場合ではないわ。花世はおるか、花世、花世」
「はい……お父様。わたくしが、しっかりとこう手を握っているのがお分りになりませんか」
「オオそうか……。分る、分る。わしはまだ死なんぞ。花世、わしはこれから、夜明けまでに、目出度い、目出度い、おまえ達の婚礼の席にのぞまねばならんのじゃ。