Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

聞かない振りをして、空を見ていた花世は、火のようになって、父のうしろに隠れた。

「はははは。恥しいことはない。郁次郎が帰れば、あの屋敷は、二人のもの。わしはこの草堂の主になって、仲のよい若夫婦を眺めて暮す。……それが唯一の希望じゃ。オオ、そういえば五百之進殿、お願いしておいた公辺へのお届けは」

「そのことなら心配はない。御老中方も、趣旨を聞かれて、さすがは塙老人、殊勝であると、すぐにご聴許になった」

「それで安心いたした。公儀のお許しがすめば、もう世間へ知れてもよい」

「では、いずれ近日に、改めて、結納を持って出直して参る」

「左様か、では、婚儀の日どりは、その時のご相談としようか」

五百之進は、花世を連れて帰った。

老人はふたりを送り出してから、大工に大きな欅の板を削らせ、それへ太筆に墨をふくませて、「塙蘭医養生所」と書いて、

「きょうは欣ばしい日だったせいか、ばかに、文字も気持ちがよく書けた」

と、愛縄堂の中に立てかけて、墨を乾かしておいた。

これで分った。鶉坂の大きな建物は、病人を容れる養生所になるのだ。幕府の施薬院としては、小石川養生所と青山に一個所あるが、それは、両方とも漢方医の病院。