Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lisez 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 213 caractères · 325 écrans
「賢く、優婉に、そしてなかなか教養もあるらしい」
と、羅門は答えた。
「父娘仲のよいことは世間の定評じゃが、しかし、その奥の奥、裏の裏には、何か? ……あると思われるが」
「それは、疑ってみれば多分に疑える点はある。第一、まだ長崎表から帰府していないはずの塙郁次郎を屋敷の奥に匿っているなどという事実は、たしかに、あの父娘の秘密を証拠だてておるものだ」
「ひとつ!」
と、東儀はぴりっと眉を昂げて立ち止まった――
「五百之進の不在こそかえって倖せ、今夜にでも、ふいに捕手を向けて、奥に潜りこんでいる郁次郎を、召捕ってみるといたそうか」
「いや、それは早い」
「しかし、時雨笛から出た立派な証拠もあるではござらぬか」
「他人の偽筆といわれればそれまででしょう。もう少し証拠がためをする必要がある。――殊にほかならぬ塙江漢先生のご子息、もし間違いだった場合には、拙者は元より、幾十年来功労のあるお方に対して、奉行所としても申し開きが立ちますまい」
「なるほど……」
と、東儀与力はほとんど昏迷そのもののように鬱ぎこんで、
「あの醇朴な老先生の風貌を思い、そのご子息郁次郎が下手人の覆面だと考えて来ると、公私両面に種々な私恩や情実も絡まって参るわけだな。