Classiques japonais avec furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lisez 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 335 908 caractères · 669 écrans
「何、某が鞘当てしたと? えい、白々しいこと申されるな! 鞘当てしたはその方じゃ!」自分の方こそ白々しく、こう浪人は云い放した。
「いくら云うても詮ないこと。拙者は先を急ぐ故、これにてご免くだされい」武者修行の侍は云いすてて、グルリと体を向き変えた。
「黙れ黙れ卑怯者めが!」浪人者は威猛高に叫ぶと一緒に猿臂を延ばし、相手の腕を引っ掴んだ。
「第一無礼を致しながら、編笠を冠ったまま詫びるとは、礼儀を心得えぬ痴漢と見える。礼儀を知らずば知らしてくりょう」云いざま肩にひっ担ぎ、声を掛けて投げ飛ばした。さすが喧嘩を売るほどあって手練あざやかに投げの一手、発止とばかり極まったが、こはそもいかに相手の武士も、武芸無双の勇士と見え、ひらりと体を翻えし、スックと地上に立ち上がった。
浪人者はこれを見ると、いささか感心したように、
「これはこれは見事の手の内、拙者少々感心してござる。いざ、これよりは太刀打ちじゃ」
云う声もろとも二人の武士は、一度に刀をひき抜いた。二人は太刀先を合わせたまま、ジリリ、ジリリ、と進み合う。しばらく双方無言のまま、吐く息ばかりが迫って来る。
と、また、浪人が声を掛けた。