Classiques japonais avec furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lisez 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 335 908 caractères · 669 écrans
「や、お前は紋十郎さん!」
「おおさいかにも紋十郎じゃ、おおかたこうと眼を付けて、計られると見せて置いたら、いつかこっちの壺に填り、女賢うして牛売り損ない、可愛い男を汝が手で、巧々死地へ落とし入れたなあ。愚かな女め、アハハハ」と、憎々しく高らかに笑ったが、「これさ島君驚いたか、もうこうなれば何もかも洗い攫い云って聞かせる――設計図を盗んだは俺ではない。ここら辺りへも遊びに来るから恐らくお前も知ってはいよう、弓掛部落の組頭、藤作爺の白痴息子、粂太郎という若者じゃ! もっとも欺して盗ませたのはこの紋十郎に相違はない。さて、盗んだものの、粂太郎め俺にはまだ渡さぬ。彼奴自分で持っているのじゃ! 何故かと云うにこの俺が、芳江姫を取り持って彼奴の女房にしてやらぬからよ。とこう云ったら何んの事やら恐らくお前にも解るまいが、実は粂太郎の白痴を見込んでそういう約束をしたというものさ――年頃お前が恋しているあの美しい芳江姫をお前の女房に取り持つ故、吟味所の中へ忍び入り、設計図を盗んで持って来いと――で、その言葉を真に受けて、盗み出したというものさ。何んとこのように明したら、右衛門の欲しがる設計図が、硫黄ヶ滝にはないという事、自ずとお前にも解るであろう。