Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lisez 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 335 908 caractères · 669 écrans

Aozora Bunko

こうして日夜父の魂は修羅の巷を駈け巡り、お前の夢に現われたり、お前と話をしたいために巴ヶ淵の水底へこのように引き入れたりするのじゃわい」

「巴ヶ淵の水底へ私を引き入れたとおっしゃるは? それではここはお父様のお産れ遊ばした国ではなくて水底なのでございますか?」

「いかにもここは水底じゃ。そしてお前は死人なのじゃ。お前は溺れて死んだのじゃ。お前も死人私も死人、それ故話が出来るのじゃ。けれど、お前は溺れても、人界の寿命は絶えてはいない。お前は人界へ立ち帰って父の怨みを復えさねばならぬ。水と陸とに別れている父の屍骸を一つに集めて首と胴とを継がねばならぬ……」

こう云い終ると父の姿は次第に朧ろに消えて行った。忽ち会堂も衆僧も海も林も塔も帆も、同じく朧ろに消えて行った。美しかった異国の町は跡形もなく消え失せて、ただ眼前に残った物は黒暗々たる淵の底の渦巻き返る水ばかり。と見ると足もとの水底に白々と置かれた骨がある。胴と手足とは備わりながら頭らしいものの形もない!

「お父様!」と鳰鳥は叫びながら、その白骨を抱こうとした。と一条の黒雲が白骨の頸から吹き出でて四辺に拡がると思う間もなく、鳰鳥の体を引き包み、渦巻く水を突き破ってすくすくと空へ昇って行く。