Classiques japonais avec furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lisez 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 335 908 caractères · 669 écrans
「いかにもお呼び止め申した。甚だ卒爾ではござりますが、ここまでお戻りくださるまいか」
「何のご用かは存ぜぬが、少しく先を急ぎます故……」
「決してお手間は取らせませぬ。折入ってお願い致したい事、お頼み致したいこともござるほどに、是非是非お立ち帰りくださるよう。それにここには焚火もあれば、当りながら談合を致したし」
頭領は執念く云うのであった。旅の侍と女とは二言三言囁いた後、渋々彼らへ近寄って来た。
「これはこれは早速おきき届けくだされ、誠にもって重畳重畳。さあさあ焚火におあたりなされ」
「そしてお手前のお頼みとは?」旅の侍は油断なく彼らをキッと見据えたまま、隙も与えずすぐに訊いた。
すると頭領は微笑を含み、
「まずその前に失礼ながら、ご身分を承知致したい。と申すのは他でもござらぬ、お手前はご浪人でござるかな? それともどこかのご家臣で……」
「以前は主人もありましたなれど、今は無禄の浪人でござる」旅侍はすげなく云った。
「ご浪人でござるとか結構結構。吾らにとっては好都合でござる……そこでもう一つお聞きしたい。お手前はここにいる我々どもを、何者と覚し召しおらるるかな?」