Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

Leggi 平の将門 (たいらのまさかど) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.193 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

ところへ、彼の部下が、吉田郡の蒜間ノ江で、敵の一船群を見つけた。

といっても、戦闘にかかってみると、手にあう敵兵はいくらも出て来ず、それらの者を射尽して、あとの船を調べて見ると、女子供や老女みたいな者ばかりが、苫の下から曳き出された。

しかし、その中には、源扶の妻がいたし、貞盛の妻も、潜伏していた。一夫多妻の世なので、貞盛の妻は、都にもいるはずだが、この地方にも、妻室があったとみえる。

「これは、思いがけない獲物であったわ。貞盛の行方は、とんと、知れぬが……その妻とて、正しく、仇の片われ」

と、部将の多治員経や坂上時高などは、大いに誇って、彼女らを辱め、やがて、将門の前へ曳いて来た。

将門は、そうした敵将の女たちを見ると、どうしたのか、眼のふちを充血させ、鼻をつまらせたきり、ろくに、ものもいわなかった。――思うに、彼の愚痴な性情が、ふと、何かを思い出していたのではあるまいか。

彼の最愛の妻と、最愛の子も、かつて、陸閑岸のほとりで、同じような運命に漂い、敵兵の手にかかって、惨殺された。――はからずも、その敵の妻が、こんどは、自分の前にひきすえられている。