Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

Leggi 平の将門 (たいらのまさかど) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.193 caratteri · 463 schermate

Aozora Bunko

――おれにとっては、忘れ得ない初めての女。それが蝦夷萩なのだ。そう呼ばせてくれ」

「ひどいお館ですこと。私は私でないんですね」

「いや、おまえは、蝦夷萩だ」

「いいえ、草笛ですよ、わたくしは」

「うそをつけ。これでも蝦夷萩でないか」

抱きすくめて、息がつまる程、草笛の唇をむさぼった。薄い肩をふるわせ、眉をひそめて、三日月形に身を反らした女の姿を、将門は、遠い日に死に別れてしまった蝦夷萩が、今も在る姿と見るのであった。

「……や、これは……。悪い折でしたかな」

廊の外に、不死人の影が、立ち淀んでいた。

「おう、不死人か。べつに見られて悪いほどな事じゃない。這入ったらどうだ、こっちへ」

「では、お取次だけここから申しておきますが」

「うむ、何だ?」

「武蔵の興世王という者が、今、御門前へ、同勢二十騎ばかりで見えましたが」

「あ、また泥合戦の末、仲にはいってくれとかなんとか、仲裁事の頼みだろう。おぬしが会って、用向きを訊きおいてくれ」

「では、先年、府中へ出向かれて、和睦にまで成りかけたものを、当夜の喧嘩で、またぶち壊してしまったあの一方の者ですな」

「そうだよ。前の武蔵権守興世という男だ」