Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

四十二

「じゃお秀さんへかけるのは止すから」

こう云ったお延は、とうとう津田といっしょに立ち上った。

「まだほかにかける所があるのかい」

「ええ岡本へかけるのよ。午までにかけるって約束があるんだから、いいでしょう、かけても」

前後して階子段を下りた二人は、そこで別々になった。一人が電話口の前に立った時、一人は診察室の椅子へ腰をおろした。

四十二

「リチネはお飲みでしたろうね」

医者は糊の強い洗い立ての白い手術着をごわごわさせながら津田に訊いた。

「飲みましたが思ったほど効目がないようでした」

昨日の津田にはリチネの効目を気にするだけの暇さえなかった。それからそれへと忙がしく心を使わせられた彼がこの下剤から受けた影響は、ほとんど精神的に零であったのみならず、生理的にも案外微弱であった。

「じゃもう一度浣腸しましょう」

浣腸の結果も充分でなかった。

津田はそれなり手術台に上って仰向に寝た。冷たい防水布がじかに皮膚に触れた時、彼は思わず冷りとした。堅い括り枕に着けた彼の頭とは反対の方角からばかり光線が差し込むので、彼の眼は明りに向って寝る人のように、少しも落ちつけなかった。