Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

十九

「布は買ったのかい」

「いいえ、これあたしの御古よ。この冬着ようと思って、洗張をしたまま仕立てずにしまっといたの」

なるほど若い女の着る柄だけに、縞がただ荒いばかりでなく、色合もどっちかというとむしろ派出過ぎた。津田は袖を通したわが姿を、奴凧のような風をして、少しきまり悪そうに眺めた後でお延に云った。

「とうとう明日か明後日やって貰う事にきめて来たよ」

「そう。それであたしはどうなるの」

「御前はどうもしやしないさ」

「いっしょに随いて行っちゃいけないの。病院へ」

お延は金の事などをまるで苦にしていないらしく見えた。

十九

津田の明る朝眼を覚ましたのはいつもよりずっと遅かった。家の内はもう一片付かたづいた後のようにひっそり閑としていた。座敷から玄関を通って茶の間の障子を開けた彼は、そこの火鉢の傍にきちんと坐って新聞を手にしている細君を見た。穏やかな家庭を代表するような音を立てて鉄瓶が鳴っていた。

「気を許して寝ると、寝坊をするつもりはなくっても、つい寝過ごすもんだな」

彼は云い訳らしい事をいって、暦の上にかけてある時計を眺めた。時計の針はもう十時近くの所を指していた。