Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

百八十四

だから昨夜の記憶からくる不審も一倍に強かった。この逼らない人が、どうしてあんなに蒼くなったのだろう。どうしてああ硬く見えたのだろう。あの驚ろき具合とこの落ちつき方、それだけはどう考えても調和しなかった。彼は夜と昼の区別に生れて初めて気がついた人のような心持がした。

彼は招ぜられない先に、まず自分から設けの席に着いた。そうして立ちながら果物を皿に盛るべく命じている清子を見守った。

「どうもお土産をありがとう」

これが始めて彼女の口を洩れた挨拶であった。話頭はそのお土産を持って来た人から、その土産をくれた人の好意に及ばなければならなかった。もとより嘘を吐く覚悟で吉川夫人の名前を利用したその時の津田には、もうごまかすという意識すらなかった。

「道伴になったお爺さんに、もう少しで蜜柑をやっちまうところでしたよ」

「あらどうして」

津田は何と答えようが平気であった。

「あんまり重くって荷になって困るからです」

「じゃ来る途中始終手にでも提げていらしったの」

津田にはこの質問がいかにも清子らしく無邪気に聴えた。

「馬鹿にしちゃいけません。あなたじゃあるまいし、こんなものを提げて、縁側をあっちへ行ったりこっちへ来たりしていられるもんですか」