Classici giapponesi con furigana
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めいあん
明暗
Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate
百八十三
間の襖は開け放たれたままであった。津田は正面に当る床の間に活立らしい寒菊の花を見た。前には座蒲団が二つ向い合せに敷いてあった。濃茶に染めた縮緬のなかに、牡丹か何かの模様をたった一つ丸く白に残したその敷物は、品柄から云っても、また来客を待ち受ける準備としても、物々しいものであった。津田は席につかない先にまず直感した。
「すべてが改まっている。これが今日会う二人の間に横わる運命の距離なのだろう」
突然としてここに気のついた彼は、今この室へ入り込んで来た自分をとっさに悔いようとした。
しかしこの距離はどこから起ったのだろう? 考えれば起るのが当り前であった。津田はただそれを忘れていただけであった。では、なぜそれを忘れていたのだろう? 考えれば、これも忘れているのが当り前かも知れなかった。
津田がこんな感想に囚えられて、控の間に立ったまま、室を出るでもなし、席につくでもなし、うっかり眼前の座蒲団を眺めている時に、主人側の清子は始めてその姿を縁側の隅から現わした。それまで彼女がそこで何をしていたのか、津田にはいっこう解せなかった。また何のために彼女がわざわざそこへ出ていたのか、それも彼には通じなかった。