Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

しんとした小路の中で、急に一種の淋しさが彼女の胸を打った。今まで団体的に旋回していたものが、吾知らず調子を踏み外して、一人圏外にふり落された時のように、淡いながら頼りを失った心持で、彼女は自分の宅の玄関を上った。

下女は格子の音を聞いても出て来なかった。茶の間には電灯が明るく輝やいているだけで、鉄瓶さえいつものように快い音を立てなかった。今朝見たと何の変りもない室の中を、彼女は今朝と違った眼で見廻した。薄ら寒い感じが心細い気分を抱擁し始めた。その瞬間が過ぎて、ただの淋しさが不安の念に変りかけた時、歓楽に疲れた身体を、長火鉢の前に投げかけようとした彼女は、突然勝手口の方を向いて「時、時」と下女の名前を呼んだ。同時に勝手の横に付いている下女部屋の戸を開けた。

二畳敷の真中に縫物をひろげて、その上に他愛なく突ッ伏していたお時は、急に顔を上げた。そうしてお延を見るや否や、いきなり「はい」という返事を判然して立ち上った。それと共に、針仕事のため、わざと低目にした電灯の笠へ、崩れかかった束髪の頭をぶつけたので、あらぬ方へ波をうった電球が、なおのこと彼女を狼狽させた。