Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

そりゃあなたは固より立派な貴婦人に違ないかも知れません。しかし――」

「もうたくさんです。早く帰って下さい」

小林は応じなかった。問答が咫尺の間に起った。

「しかし僕のいうのは津田君の事です」

「津田がどうしたというんです。わたくしは貴婦人だけれども、津田は紳士でないとおっしゃるんですか」

「僕は紳士なんてどんなものかまるで知りません。第一そんな階級が世の中に存在している事を、僕は認めていないのです」

「認めようと認めまいと、そりゃあなたの御随意です。しかし津田がどうしたというんです」

「聞きたいですか」

鋭どい稲妻がお延の細い眼からまともに迸しった。

「津田はわたくしの夫です」

「そうです。だから聞きたいでしょう」

お延は歯を噛んだ。

「早く帰って下さい」

「ええ帰ります。今帰るところです」

小林はこう云ったなりすぐ向き直った。玄関の方へ行こうとして縁側を二足ばかりお延から遠ざかった。その後姿を見てたまらなくなったお延はまた呼びとめた。

「お待ちなさい」

「何ですか」

小林はのっそり立ちどまった。そうして裄の長過ぎる古外套を着た両手を前の方に出して、ポンチ絵に似た自分の姿を鑑賞でもするように眺め廻した後で、にやにやと笑いながらお延を見た。