Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

「どうせ家へ帰ったって用はないんだろう」

お秀は津田のいう通りにした。話は容易く二人の間に復活する事ができた。しかしそれは単に兄妹らしい話に過ぎなかった。そうして単に兄妹らしい話はこの場合彼らにとってちっとも腹の足にならなかった。彼らはもっと相手の胸の中へ潜り込もうとして機会を待った。

「兄さん、あたしここに持っていますよ」

「何を」

「兄さんの入用のものを」

「そうかい」

津田はほとんど取り合わなかった。その冷淡さはまさに彼の自尊心に比例していた。彼は精神的にも形式的にもこの妹に頭を下げたくなかった。しかし金は取りたかった。お秀はまた金はどうでもよかった。しかし兄に頭を下げさせたかった。勢い兄の欲しがる金を餌にして、自分の目的を達しなければならなかった。結果はどうしても兄を焦らす事に帰着した。

「あげましょうか」

「ふん」

「お父さんはどうしたって下さりっこありませんよ」

「ことによると、くれないかも知れないね」

「だってお母さんが、あたしの所へちゃんとそう云って来ていらっしゃるんですもの。今日その手紙を持って来て、お目にかけようと思ってて、つい忘れてしまったんですけれども」