Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

こう云って津田の方を見たお延は、「早くなるとおっしゃい」という意味を眼で知らせた。しかし津田には、彼女のして見せる眼の働らきが解っても、意味は全く通じなかった。彼はいつも繰り返す通りの事を云った。

「ならん事もあるまいがね、おれにはどうもお父さんの云う事が変でならないんだ。垣根を繕ろったの、家賃が滞ったのって、そんな費用は元来些細なものじゃないか」

「そうも行かないでしょう、あなた。これで自分の家を一軒持って見ると」

「我々だって一軒持ってるじゃないか」

お延は彼女に特有な微笑を今度はお秀の方に見せた。お秀も同程度の愛嬌を惜まずに答えた。

「兄さんはその底に何か魂胆があるかと思って、疑っていらっしゃるんですよ」

「そりゃあなた悪いわ、お父さまを疑ぐるなんて。お父さまに魂胆のあるはずはないじゃありませんか、ねえ秀子さん」

「いいえ、父や母よりもね、ほかにまだ魂胆があると思ってるんですのよ」

「ほかに?」

お延は意外な顔をした。

「ええ、ほかにあると思ってるに違ないのよ」

お延は再び夫の方に向った。

「あなた、そりゃまたどういう訳なの」

「お秀がそう云うんだから、お秀に訊いて御覧よ」