Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

彼らの背後に背負っている因縁は、他人に解らない過去から複雑な手を延ばして、自由に彼らを操った。

しまいに津田とお秀の間に下のような問答が起った。

「始めから黙っていれば、それまでですけれども、いったん云い出しておきながら、持って来た物を渡さずにこのまま帰るのも心持が悪うござんすから、どうか取って下さいよ。兄さん」

「置いて行きたければ置いといでよ」

「だから取るようにして取って下さいな」

「いったいどうすればお前の気に入るんだか、僕には解らないがね、だからその条件をもっと淡泊に云っちまったらいいじゃないか」

「あたし条件なんてそんなむずかしいものを要求してやしません。ただ兄さんが心持よく受取って下されば、それでいいんです。つまり兄妹らしくして下されば、それでいいというだけです。それからお父さんにすまなかったと本気に一口おっしゃりさえすれば、何でもないんです」

「お父さんには、とっくの昔にもうすまなかったと云っちまったよ。お前も知ってるじゃないか。しかも一口や二口じゃないやね」

「けれどもあたしの云うのは、そんな形式的のお詫じゃありません。心からの後悔です」

津田はたかがこれしきの事にと考えた。