Classici giapponesi con furigana
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めいあん
明暗
Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate
それだけならまだよかった。彼の弱点はもう一歩先へ乗り越す事を忘れなかった。彼のお延に匂わせた自分は、今より大変楽な身分にいる若旦那であった。必要な場合には、いくらでも父から補助を仰ぐ事ができた。たとい仰がないでも、月々の支出に困る憂はけっしてなかった。お延と結婚した時の彼は、もうこれだけの言責を彼女に対して背負って立っていたのと同じ事であった。利巧な彼は、財力に重きを置く点において、彼に優るとも劣らないお延の性質をよく承知していた。極端に云えば、黄金の光りから愛その物が生れるとまで信ずる事のできる彼には、どうかしてお延の手前を取繕わなければならないという不安があった。ことに彼はこの点においてお延から軽蔑されるのを深く恐れた。堀に依頼して毎月父から助けて貰うようにしたのも、実は必要以外にこんな魂胆が潜んでいたからでもあった。それでさえ彼はどこかに煙たいところをもっていた。少くとも彼女に対する内と外にはだいぶんの距離があった。眼から鼻へ抜けるようなお延にはまたその距離が手に取るごとくに分った。必然の勢い彼女はそこに不満を抱かざるを得なかった。しかし彼女は夫の虚偽を責めるよりもむしろ夫の淡泊でないのを恨んだ。