Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

どうしたんでしょう」

「でも本当よ、秀子さん」

お秀は始めて声を出して笑った。

「そりゃ本当でしょうよ。誰も嘘だと思うものなんかありゃしないわ。だけどどんな事なの、いったい」

「津田の事よ」

「だから兄の何よ」

「そりゃ云えないわ。あなたの方から云って下さらなくっちゃ」

「ずいぶん無理な御注文ね。云えったって、見当がつかないんですもの」

お秀はどこからでもいらっしゃいという落ちつきを見せた。お延の腋の下から膏汗が流れた。彼女は突然飛びかかった。

「秀子さん、あなたは基督教信者じゃありませんか」

お秀は驚ろいた様子を現わした。

「いいえ」

「でなければ、昨日のような事をおっしゃる訳がないと思いますわ」

昨日と今日の二人は、まるで地位を易えたような形勢に陥った。お秀はどこまでも優者の余裕を示した。

「そう。じゃそれでもいいわ。延子さんはおおかた基督教がお嫌いなんでしょう」

「いいえ好きなのよ。だからお願いするのよ。だから昨日のような気高い心持になって、この小さいお延を憐れんでいただきたいのよ。もし昨日のあたしが悪かったら、こうしてあなたの前に手を突いて詫まるから」

お延は光る宝石入の指輪を穿めた手を、お秀の前に突いて、口で云った通り、実際に頭を下げた。