Classici giapponesi con furigana
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めいあん
明暗
Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate
津田は他から機嫌を取られつけている夫人の常として、手前勝手にいくらでも変って行く、もしくは変って行っても差支えないと自分で許している、この夫人を、一種の意味で、女性の暴君と奉つらなければならない地位にあった。漢語でいうと彼女の一顰一笑が津田にはことごとく問題になった。この際の彼にはことにそうであった。
「今朝秀子さんがいらしってね」
お秀の訪問はまず第一の議事のごとくに彼女の口から投げ出された。津田は固より相手に応じなければならなかった。そうしてその応じ方は夫人の来ない前からもう考えていた。彼はお秀の夫人を尋ねた事を知って、知らない風をするつもりであった。誰から聴いたと問われた場合に、小林の名を出すのが厭だったからである。
「へえ、そうですか。平生あんまり御無沙汰をしているので、たまにはお詫に上らないと悪いとでも思ったのでしょう」
「いえそうじゃないの」
津田は夫人の言葉を聴いた後で、すぐ次の嘘を出した。
「しかしあいつに用のある訳もないでしょう」
「ところがあったんです」
「へええ」
津田はこう云ったなりその後を待った。
「何の用だかあてて御覧なさい」
津田は空っ惚けて、考える真似をした。