Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

「実はこの間君の細君にすっかり話しちまったんだ」

津田の表情がたちまち変った。

「何を?」

小林は相手の調子と顔つきを、噛んで味わいでもするように、しばらく間をおいて黙っていた。しかし返事を表へ出した時は、もう態度を一変していた。

「嘘だよ。実は嘘だよ。そう心配する事はないよ」

「心配はしない。今になってそのくらいの事を云つけられたって」

「心配しない? そうか、じゃこっちも本当だ。実は本当だよ。みんな話しちまったんだよ」

「馬鹿ッ」

津田の声は案外大きかった。行儀よく椅子に腰をかけていた給仕の女が、ちょっと首を上げて眼をこっちへ向けたので、小林はすぐそれを材料にした。

「貴婦人が驚ろくから少し静かにしてくれ。君のような無頼漢といっしょに酒を飲むと、どうも外聞が悪くていけない」

彼は給使の女の方を見て微笑して見せた。女も微笑した。津田一人怒る訳に行かなかった。小林はまたすぐその機に付け込んだ。

「いったいあの顛末はどうしたのかね。僕は詳しい事を聴かなかったし、君も話さなかった、のじゃない、僕が忘れちまったのか。そりゃどうでも構わないが、ありゃ向うで逃げたのかね、あるいは君の方で逃げたのかね」