Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate

Aozora Bunko

すると小林が突然彼の方を向いた。

「原君は好い絵を描くよ、君。一枚買ってやりたまえ。今困ってるんだから、気の毒だ」

「そうか」

「どうだ、この次の日曜ぐらいに、君の家へ持って行って見せる事にしたら」

津田は驚ろいた。

「僕に絵なんか解らないよ」

「いや、そんなはずはない、ねえ原。何しろ持って行って見せてみたまえ」

「ええ御迷惑でなければ」

津田の迷惑は無論であった。

「僕は絵だの彫刻だのの趣味のまるでない人間なんですから、どうぞ」

青年は傷けられたような顔をした。小林はすぐ応援に出た。

「嘘を云うな。君ぐらい鑑賞力の豊富な男は実際世間に少ないんだ」

津田は苦笑せざるを得なかった。

「また下らない事を云って、――馬鹿にするな」

「事実を云うんだ、馬鹿にするものか。君のように女を鑑賞する能力の発達したものが、芸術を粗末にする訳がないんだ。ねえ原、女が好きな以上、芸術も好きにきまってるね。いくら隠したって駄目だよ」

津田はだんだん辛防し切れなくなって来た。

「だいぶ話が長くなりそうだから、僕は一足先へ失敬しよう、――おい姉さん会計だ」

給仕が立ちそうにするところを、小林は大きな声を出して止めながら、また津田の方へ向き直った。