Classici giapponesi con furigana
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めいあん
明暗
Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate
同時に変な妄想が、今呑んでいる煙草の煙のように、淡く彼の心を掠めて過ぎた。
「此奴は懐から短銃を出すんじゃないだろうか。そうしてそれをおれの鼻の先へ突きつけるつもりじゃないかしら」
芝居じみた一刹那が彼の予感を微かに揺ぶった時、彼の神経の末梢は、眼に見えない風に弄られる細い小枝のように顫動した。それと共に、妄りに自分で拵えたこの一場の架空劇をよそ目に見て、その荒誕を冷笑う理智の力が、もう彼の中心に働らいていた。
「何を探しているんだ」
「いやいろいろなものがいっしょに入ってるからな、手の先でよく探しあてた上でないと、滅多に君の前へは出されないんだ」
「間違えて先刻放り込んだ札でも出すと、厄介だろう」
「なに札は大丈夫だ。ほかの紙片と違って活きてるから。こうやって、手で障って見るとすぐ分るよ。隠袋の中で、ぴちぴち跳ねてる」
小林は減らず口を利きながら、わざと空しい手を出した。
「おやないぞ。変だな」
彼は左胸部にある表隠袋へ再び右の手を突き込んだ。しかしそこから彼の撮み出したものは皺だらけになった薄汚ない手帛だけであった。
「何だ手品でも使う気なのか、その手帛で」