Classici giapponesi con furigana
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めいあん
明暗
Leggi 明暗 (めいあん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 322.590 caratteri · 645 schermate
滴るように色づいた皮が、ナイフの刃を洩れながら、ぐるぐると剥けて落ちる後に、水気の多そうな薄蒼い肉がしだいに現われて来る変化は彼に一年以上経った昔を憶い起させた。
「あの時この人は、ちょうどこういう姿勢で、こういう林檎を剥いてくれたんだっけ」
ナイフの持ち方、指の運び方、両肘を膝とすれすれにして、長い袂を外へ開いている具合、ことごとくその時の模写であったうちに、ただ一つ違うところのある点に津田は気がついた。それは彼女の指を飾る美くしい二個の宝石であった。もしそれが彼女の結婚を永久に記念するならば、そのぎらぎらした小さい光ほど、津田と彼女の間を鋭どく遮ぎるものはなかった。柔婉に動く彼女の手先を見つめている彼の眼は、当時を回想するうっとりとした夢の消息のうちに、燦然たる警戒の閃めきを認めなければならなかった。
彼はすぐ清子の手から眼を放して、その髪を見た。しかし今朝下女が結ってやったというその髪は通例の庇であった。何の奇も認められない黒い光沢が、櫛の歯を入れた痕を、行儀正しく竪に残しているだけであった。
津田は思い切って、いったん捨てようとした言葉をまた取り上げた。