후리가나로 읽는 일본 고전
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
中里 介山의 大菩薩峠4(だいぼさつとうげ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 264,133자 · 524화면
それから御門まで来る間も、お君は嬉しさで宙を歩んでいるような心持です。その嬉しさのうちには、やはり胸を騒がせるような戦きが幾度か往来をします。その戦きはお君にとって怖ろしいものでなく、心魂を恍かすほどに甘いものでありました。
「わたしは、あの殿様に好かれている、あの殿様は、わたしを憎いようには思召していない、たしかに――」
お君は身を揺って、そこから己れの心の乱れて行くことを、更に気がつきません。
ましてや、お君は、お銀様に頼まれて来たことも、そのお銀様がお濠の外で待ち焦れておいでなさるだろうということも、この時は思い出す余裕がありませんでした。さいぜん親切に案内された門番へさえも、一言も挨拶をしないで門を通り抜けようとして、門番から言葉をかけられてようやく気がついて、あわててお礼を言ったくらいでありました。
橋を渡って、お銀様を待たせた柳の樹のところへ来て見たが、そこにお銀様の姿が見えませんでした。
「お嬢様は……」
と言って、お君はそのあたりを見廻しましたけれども、そのあたりのいずれにもお銀様らしい人の影は見えません。
その時に、お君は自分が能登守の前に、あまり長くの時を費したことを考えました。