후리가나로 읽는 일본 고전
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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田 魯庵의 新編 思い出す人々(ふたばていよだん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 215,401자 · 427화면
椿岳には小さいながらも椿岳独自の領分があって、この領分は応挙や探幽のような巨匠がかつて一度も足を踏入れた事のない処女地であった。縦令この地域は狭隘であり磽であっても厳として独立した一つの王国であった。椿岳は実にこの椿岳国という新らしい王国の主人であった。
この椿岳国の第一の名産たる画はどんな作である乎、先年の椿岳展覧会は一部の好事家間に計画されたので、平生相知る間を集めて展観したのだから、この展覧会で椿岳の画の全部を知る事は出来なかったが、ほぼその画風を窺う事は出来た。
椿岳の画は大津絵でも鳥羽絵でもない、蕪村でも大雅でもない。尺寸の小幀でも椿岳一個の生命を宿している。古人の先蹤を追った歌舞伎十八番のようなものでも椿岳独自の個性が自ずから現われておる。多い作の中には不快の感じを与えられるものもあるが、この不快は椿岳自身の性癖が禍いする不快であって、因襲の追随から生ずる不快ではない。この瑜瑕並び蔽わない特有の個性のありのままを少しも飾らずに暴露けた処に椿岳の画の尊さがある。
椿岳の画は大抵小品小幀であって大作と見做すべきものが殆んどない。尤もその頃は今の展覧会向きのような大画幅を滅多に描くものはなかったが、殊に椿岳は画を風流とする心に累せられて、寿命を縮めるような製作を嫌っていた。