후리가나로 읽는 일본 고전
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
佐々木 味津三의 旗本退屈男(はたもとたいくつおとこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 240,656자 · 478화면
三間! 五間!……
十人! 十五人!……
二十人! 三十人!……
押し分け押し分けながら、いざりいざって、人込みの奥深く這入っていったかと見えるや途端!
「畜生ッ、スリだッ、スリだッ」
「スリがまぎれ込んでいるぞッ」
「俺もやられたッ、気をつけろッ」
怪しの女がいざり進んでいったその人込みのうしろから、突如としてけたたましい叫び声が挙ったかと思うと同時で、どッと人々が総立ちになりました。
しかしその時退屈男は、どじょう殺しの徳利を抱えてまごまごしている三公を置き去りにしながら、すでに早くひらりと身を躍らして、参籠所の前の広庭を経堂裏の方へ、一散に走っている最中でした。人々が騒ぎ出したひと足前にあの怪しの女が、縁から縁を猿のように軽々と伝わって、暗い影を曳きながらその経堂裏の方角へ必死に逃げ延びて行く姿を、逸早く認めたからです。――その目の早さ、足の早さ。
だが、女も早い。よくよく境内の地形と配置に通暁していると見えて、今ひと息のところまで追いかけたかと思うと、するりと右に廻り、廻ったかと思うとまた左へ抜けて、どうやらその目ざしているところは西谷の方角でした。