후리가나로 읽는 일본 고전
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ふうりゅうたいへいき
風流太平記
山本 周五郎
山本 周五郎의 風流太平記(ふうりゅうたいへいき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 244,473자 · 487화면
鼠は紐で縛られていた。
おちづはもっと顔を寄せて見た。紐は石倉の下へと続いていた。土台石のひとところに、ちょうど小鼠の出入りできるくらいの隙間がある、その鼠は紐につながれて、その隙間から出て来たものらしかった。
「あらいやだ、罪なことをするわねえ」
おちづはこう云って、さらにまた気がついた。
小鼠の首に白い物が巻きつけてあるのだ。おちづは急に興味を唆られ、はいていた庭下駄の片方をぬいで、すばやく鼠を押えつけ、巻いてあるその白い物を取った。
懐紙を折って結びつけたものであった。
「――手紙だわ」
ひろげて見ながら、おちづはそう呟き、同時にぞっと背筋が寒くなった。
自分が女衒の手から手へ渡りながら、きびしく檻禁されていたときのことを思いだしたのである。その紙には字が書いてあった。おちづには読めないが、字が書いてある以上は、誰かが石倉の中にいるのだろう。
――そうに違いないわ。
自分が暗い納戸に押込められていたときの、恐怖と絶望が思いだされた。
ちちち、ちち。
鼠が悲鳴をあげた。見ると、土台石の隙間の中へ、紐で引き込まれるところであった。慥かに、石倉の中に人がいて、その鼠を引き戻すようであった。