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あさひのよろい
あさひの鎧
国枝 史郎
「時事新報」1934(昭和9)年8月25日~1935(昭和10)年3月16日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 239,520 字 · 475 页
城の外廓が鉄板で鎧った、宏大極まる桶かのように、桂子たちの眼前に聳えていた。
と、桂子が二言三言、何やら袈裟太郎へ囁いた。
すると袈裟太郎は頷いて、そっと案内の武士の側へ寄り、横腹のあたりへ拳をあてた。
「!」
異様な悲鳴をあげたばかりで、案内の武士は気絶して仆れた。
「その男の上帯をお取り」
桂子はそう云った。
今は可哀そうな案内の武士の、一丈あまりの白い上帯が、袈裟太郎の手によってほぐされた。
「その男を始末おし、そうしてわたしがおいでというまで、お前たちはこの辺で待っておいで」
白の上帯を受取りながら、桂子は右衛門と袈裟太郎とへ云った。
「で、お姫様にはどうなされます?」
と、心配そうに右衛門は云って、大鉞の柄へ頤をのせた。
「わたしは一本の白布となって、お城の中へはいって行くのさ」
「ははあ上帯に身を変じて?」
「そうだよ、上帯に身を変じてね」
「お一人で大丈夫でございましょうか」
と、袈裟太郎が不安そうに云った。
「飛天夜叉には危険はないよ」
「さようで」
と右衛門が大きく頷いた。
「飛天夜叉様は術者でございますからなあ」
気絶して仆れている案内の武士の、死骸のような躰の横に、佇んでいる右衛門と袈裟太郎には、田舎娘に扮していたところの、桂子の姿が見えなくなり、鉄板でも張ったような城壁の裾を、白布が高く宙に延び、二