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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

「それはだめです。ここから、ムーア彗星までは、たいへんな距離です」

「たいへんな遠方でもよろしい。生命のあるかぎり、いけるところまでいってみようじゃないか」

「はあ」

「なにかね、そのムーア彗星は、これからのち、もっと地球に近くならないのかね」

「え?」

このとき、緑川博士は、すいぶん大きな声をだした。よほどおどろいたのである。博士の顔は、たちまち赤くなった。なぜ?

(ああ、そうだった。自分としたことが、なんという間ぬけだったろう!)

博士は、われとわが頭を、拳でもって、ごつんと殴ったのであった。

「こら待て、いくら自分の頭だからといって、そうらんぼうに殴るとはいかん……」

「いや、大竹閣下。自分は、今閣下からいわれるまで実はたいへんなことを忘れていました」

「たいへんなことを忘れていた。それは何か。いってみなさい、それを」

「いや、外でもありません。そのムーア彗星が、やがてどのへんまで地球に近づくか、その計算をまだしてなかったのです」

「ふーん」

「そうだ。何ヶ月か何年か待てば、ムーア彗星は今よりもっと地球に近くなるかもしれない」

「そのとき、こっちから出かけていけばいいではないか」