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だいうちゅうえんせいたい

大宇宙遠征隊

海野 十三

「国民五年生」1941(昭和16)年4月号~(終号未詳)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 53,967 字 · 109 页

青空文庫

三郎は、缶詰の中から、青豆を箸ではさみながら、にっこり笑った。

「おれはこれで三度目の宇宙旅行なんだが、お前は始めてだから、勝手がわからないで困るだろう」

「困ることも、ありますねえ。第一、朝になった、昼になったといわれても、外はこのとおりまっくらですからねえ。勝手がちがいますよ」

「そうだろう。永年、太陽の光の下でくらしていた身になれば、まっくらな夜ばかりの連続では、くさくさするのも、むりじゃない」

「太陽の光線は、今となっては、とてもなつかしいものですね」

三郎は、しみじみといった。地上に照る太陽の眩しい光を思い出す。地上から、まいあがっても、成層圏ちかくのところまでは、それでもまだうっすらと夕方のような太陽のかすかな光があったが、成層圏の中をつきすすんでいくうちに、いつしかあたりは、暗黒と化してしまった。しかも、はるかに天の一角を見ると、ダイヤモンドをふりまいたように、きらきらと輝くうつくしい無数の星に変って、われらの太陽が、青白く光っているのであった。太陽は光っているが、空はまっくらであった。まるで夜中に満月を仰いでいるのと、あまり感じがちがわなかった。