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わらわのはんせいがい

妾の半生涯

福田 英子

「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页

青空文庫

第十三 良人

一 同情相憐れむ

この叔母上は妾が妊娠の当時より非常の心配をかけたるにその恩義に報ゆるの間もなくて早くも世を去り給えるは、今に遺憾遣る方もなし。その翌年四月には大切なる兄上さえ世を捨てられ、僅かの月日の内に三度まで葬儀を営める事とて、本来貧窮の家計は、ほとほと詮術もなき悲惨の淵に沈みたりしを、有志者諸氏の好意によりて、辛くも持ち支え再び開校の準備は成りけれども、杖柱とも頼みたる父上兄上には別れ、嫂は子供を残して実家に帰れるなどの事情によりて、容易に授業を始むべくもあらず、一家再び倒産の憐れを告げければ、妾は身の不幸不運を悔むより外の涙もなく、この上は海外にも赴きてこの志を貫かんと思い立ち、徐ろに不在中の家族に対する方法を講じつつありし時よ、天いまだ妾を捨て給わざりけん端なくも後日妾の敬愛せる福田友作と邂逅の機を与え給えり。

第十三 良人

一 同情相憐れむ

これより先、明治二十三年の春、新井章吾氏の宅にて、一度福田と面会せし事はありしが、当時妾は重井との関係ありし頃にて、福田の事は別に記憶にも存せざりしが、彼は妾の身の上を知り、一度交誼を結ばんとの念はありしなるべし。ある日関東倶楽部に一友人を尋ねし時、一紳士の微笑しつつ、好処にてお目にかかれり、是非お宅へ御尋ね申したき事ありというを冒頭に、妾の方に近づき来りて、慇懃に挨拶せる