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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页
五 驚くべき相談対手
消息を聞かざりしが、またも例の幻術をもて首尾よく農学博士の令室となりすまし、いと安らかに、楽しく清き家庭を整えおらるるとか。聞くが如きは、重井と彼女との間に生れたる男子は、彼女の実兄泉某の手に育てられしが、その兄発狂して頼みがたくなれるをもて、重井を尋ねて、身を托せんと思い立ちしに、その妾お柳のために一言にして跳付けられ、已むなく博士某の邸に生みの母なる富子夫人を尋ぬれば、これまた面会すらも断わられて、爾来行く処を知らずとぞ。年齢はなお十三、四歳なるべし。しかも辛苦の内に成長したればか、非常にませし容貌なりとの事を耳にしたれば、アア何たる無情ぞ何たる罪悪ぞ、父母共に人に優れし教育を受けながら、己れの虚名心に駆られて、将来有為の男児をば無残々々浮世の風に晒し、なお一片可憐なりとの情も浮ばず、ようよう尋ね寄りたる子を追い返すとは、何たる邪慳非道の鬼ぞやと、妾は同情の念已みがたく、如何にもしてその所在を知り、及ばずながら、世話して見んと心掛くるものから、いまだその生死をだに知るの道なきこそ遺憾なれ。
五 驚くべき相談対手
ここにおいて妾は全く重井のために弄ばれ、果は全く欺かれしを知りて、わが憤怨の情は何ともあれ、差し当りて両親兄弟への申し訳を如何にすべきと、ほとほと狂すべき思いなりしをわれを励まし、かつて生死を