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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页
七 妨害運動
八 血を吐く思い
七 妨害運動
これより先、郷里の両親らは福田が渡韓の事を聞きて彼を郷里に呼び返すことのいよいよ難きを憂い、その極高利貸をして、福田が家資分産の訴えを起さしめ、かくして彼の一身を縛り、また公権をさえ褫奪して彼をして官途に就く能わざらしめ、結局落魄して郷里に帰るの外に途なからしめんと企てたり。されば彼の仁川港に着するや、右の宣告書は忽ち領事館より彼が頭上に投げ出されぬ。彼はその両親の慈愛が、かくまで極端なるべしとは、夢にも知らず、ただ一筋に将来の幸福を思えばこそ、血の出るほどの苦しき金をも調達して最愛の妻や病児をも跡に残して、あかぬ別れを敢えてしたるなるに、慈愛はなかなか仇となりて、他に語るも恥かしと、帰京後男泣きに泣かれし時の悲哀そもいくばくなりしぞ。実に彼は死よりもつらき不面目を担いつつ、折角新調したりし寒防具その他の手荷物を売り払いて旅費を調え、漸く帰京の途にはつき得たるなりき。
八 血を吐く思い
横浜に着すると同時に、妾にちょっと当地まで来れよとの通信ありければ、病児をば人に托して直ちに旅館に至りしに、彼が顔色常ならず、身に附くものとては、ただ一着の洋服のみとなりて、いとど帰国の本意なき事を語り出でられぬ。