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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页
四 少女
四 少女
妾の在監中、十六歳と十八歳の二少女ありけり、年下なるはお花、年上なるはお菊と呼べり。この二人を特に典獄より預けられて、読み書き算盤の技は更なり、人の道ということをも、説き聞かせて、及ぶ限りの世話をなすほどに、頓て両女がここに来れる仔細を知りぬ。お花は心の様さして悪しからず、ただ貧しき家に生れて、一年村の祭礼の折とかや、兄弟多くして晴衣の用意なく、遊び友達の良き着物着るを見るにつけても、わが纏える襤褸の恨めしく、少女心の浅墓にも、近所の家に掛けありし着物を盗みたるなりとぞ。またお菊は幼少の時孤児となり叔父の家に養われたりしが、生れ付きか、あるいは虐遇せられし結果にや、しばしば邪の径に走りて、既に七回も監獄に来り、出獄の日ただ一日を青天の下に暮せし事もありしよし。打ち見たる処、両女とも、十人並の容貌を具えたるにいとど可憫の加わりて、如何で無事出獄の日には、わが郷里の家に養い取りて、一身の方向を授けやらばやと、両女を左右に置きて、同じく読書習字を教え、露些かも偏頗なく扱いやりしに、両女もいつか妾に懐きて、互いに競うて妾を劬わり、あるいは肩を揉み脚を按り、あるいは妾の嗜む物をば、己れの欲を節して妾に侑むるなど、いじらしきほどの親切に、かかる美徳を備えながら、何故盗みの罪は犯したりしぞと、いとど深き哀れ