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わらわのはんせいがい

妾の半生涯

福田 英子

「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页

青空文庫

二 大奇談

さきに男のすなる事にも関いしは事国家の休戚に関し、女子たりとも袖手傍観すべきに非ず、もし幸いにして、妾にも女の通性とする優しき情と愛とあらば、これを以て有為の士を奨め励まし、及ばずながら常に男子に後援たらんとせしに外ならず、かの男子と共に力を争い、将た功を闘わさんなどは妾の思いも寄らぬ所なり。女は何処までも女たれ男は何処までも男たれ、かくて両性互いに相輔け相補うてこそ始めて男女の要はあれと確信せるものなるに、図らずもかかる錯誤を招きたるは、妾の甚だ悲しむ所、はた甚だ快しとせざる所なるをもて、妾は女生に向かいて諄々その非を諭し、やがて髪を延ばさせ、着物をも女の物に換えしめけるに、あわれ眉目艶麗の一美人と生れ変りて、ほどなく郷里に帰り、他に嫁して美しき細君とはなりき。当時送り来りし新夫婦の写真今なおあり、これに対するごとにわれながら坐ろに微笑の浮ぶを覚えつ。

二 大奇談

その頃なお一層の奇談あり。妾が東京に家を卜せしある日の事、福岡県人菊池某とて当時耶蘇教伝道師となり、普教に勉めつつありたるが、時の衆議院議員、嘉悦氏房氏の紹介状を携え来りて、妾に面会せん事を求めぬ。