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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页
十 ああ死別
、毫も慈母の撫育に異なることなく、終日その傍に絆されて、更に他意とてはなき模様なりしにぞ、両親はかえって安心の体にて親ら愛孫の世話をなしくるるようになり、またその愛孫の母なればとて、妾に対してさえ、毎月若干の手当てを送るに至りけるが、夫婦相思の情は日一日に弥増して、彼がしばしば出京することのあればにや、次男侠太の誕生間もなく、親族の者より、妾に来郷の事を促し来りぬ、されば彼はこれに反して、私かに来らぬこそ好けれと言い送れり。そは妾にして仮し彼の家の如き冷酷の家庭に入るとも到底長く留まる能わざるを予知すればなりき。妾とてもまた衣裳や金の持参なくして、遥かに身体一つを投ずるは、他の家ならば知らず、この場合においては、徒に彼を悩ますの具となるに過ぎざることを知りければ、始めは固く辞みて行かざりしに、親族は躍気になりて来郷を促し、子供のために、枉げて来り給えなどいと切めて勧めけるに、良人と児との愛に引かれて、覚束なくも、舅姑の機嫌を取り、裁縫やら子供の世話やらに齷齪することとなりたるぞ、思えば変る人の身の上なりける。
十 ああ死別
されど妾の如き異分子の、争でか長くかかる家庭に留まり得べき。