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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页
第十 閑話三則
一 一女生
なれとて、妾は素より両親も頗る満足の体に見受けられき。爾来東京に大阪に将た神戸に、妾は表面同志として重井と相伴い、演説会に懇親会に姿を並べつ、その交情日と共にいよいよ重なり行きぬ。
第十 閑話三則
一 一女生
その頃妾の召し連れし一女生あり。越後の生れにて、あたかも妙齢十七の処女なるにも似ず、何故か髪を断りて男の姿を学び、白金巾の兵児帯太く巻きつけて、一見田舎の百姓息子の如く扮装ちたるが、重井を頼りて上京し、是非とも景山の弟子にならんとの願いなれば、書生として使いくれよとの重井の頼み辞みがたく、先ずその旨を承諾して、さて何故にかかる変性男子の真似をなすにやと詰りたるに、貴女は男の如き気性なりと聞く、さらばかくの如き姿にて行かざらんには、必ずお気に入るまじと確信し、ことさらに長き黒髪を切り捨て、男の着る着物に換えたりという。さては世間の妾を視ること、かくまでに誤れるにや、それとも心付かずしてあくまでも男子を凌がんとする驕慢疎野の女よと指弾きせらるることの面目なさよ。有体にいえば、妾は幼時の男装を恥じて以来、天の女性に賜わりし特色をもて些かなりとも世に尽さん考えなりしに、図らずも殺風景の事件に与したればこそ、かかる誤認をも招きたるならめ。