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わらわのはんせいがい
妾の半生涯
福田 英子
「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页
今や我が国都鄙到る処として庠序の設けあらざるはなく、寒村僻地といえどもなお唔の声を聴くことを得、特に女子教育の如きも近来長足の進歩をなし、女子の品位を高め、婦人の本性を発揮するに至れるは、妾らの大いに欣ぶ所なり。されど現時一般女学校の有様を見るに、その学科は徒に高尚に走り、そのいわゆる工芸科なる者もまた優美を旨とし以て奢侈贅沢の用に供せらるるも、実際生計の助けとなる者あらず、以て権門勢家の令閨となる者を養うべきも、中流以下の家政を取るの賢婦人を出すに足らず。これ実に昭代の一欠事にして、しかして妾らの窃かに憂慮措く能わざる所以なり。
それ世の婦女たるもの、人の妻となりて家庭を組織し、能くその所天を援けて後顧の憂いなからしめ、あるいは一朝不幸にして、その所天に訣るることあるも、独立の生計を営みて、毅然その操節を清うするもの、その平生涵養停蓄する所の智識と精神とに因るべきは勿論なれども、妾らを以てこれを考うれば、むしろ飢寒困窮のその身を襲うなく、艱難辛苦のその心を痛むるなく、泰然としてその境に安んずることを得るがためならずんばあらざるなり。
しかりといえども女子に適切なる職業に至りてはその数極めて少なし、やや望みを嘱すべきものは絹手巾の刺繍これなり。