轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

わらわのはんせいがい

妾の半生涯

福田 英子

「妾の半生涯」東京堂、1904(明治37)年10月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,051 字 · 122 页

青空文庫

三 変心の理由

されどその当時にありては、両親の喜び一方ならず、東京にて日を暮し得るとは何たる果報の身の上ぞや、これも全く英子が朝鮮事件に与りたる余光なりとて、進まぬ兄上を因循なりと叱りつつ、一家打ち連れて東京に永住することとなりしは明治二十四年の十月なりき。上京の途中は大阪の知人を尋ね、西京見物に日を費し、神戸よりは船に打ち乗りて、両親および兄弟両夫婦および東京より迎えに行きたる妾と弟の子の乳母と都合八人いずれも打ち興じつつ、長き海路も恙なく無事横浜に着、直ちに汽車にて上京し、神田錦町の寓居に入りけるに、一年余りも先に来り居たる叔母は大いに喜び、一同を労わり慰めて、絶えて久しき物語に余念とてはなかりけり。

三 変心の理由

家族の東京に集まりてより、重井の挙動全く一変し、非常に不満の体にて訪い来る事も稀々なりしが、妾はなおそれとは気付かず、ただただ両親兄弟に対し前約を履行せざるを恥ずるが故とのみ思い取りしかば、しばしば彼に告ぐるに両親の悪意なきことを以てしけれども、なお言を左右に托して来らず、ようよう疎遠の姿となりて、果はその消息さえ絶えなんとはしたり。こは大いに理由ある事にて、彼は全く変心せしなり、彼は妾の帰国中妾の親友たりし泉富子と情を通じ、妾を疎隔せんと謀りしなり。