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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
だから、立案料に半分出そうというわけです」
須原はぬけぬけとうそをついた。読者も知るように、川波良斎への要求額は二千万円であった。つまり、影男を抹殺する代金が二千万円だった。なんということだ。このずぶとい小男は、これから殺そうと思っている当人に、その殺人方法を立案させようというわけなのである。
あぶない、あぶない。さすがの影男も、そこまでは気がつくまい。いくらなんでも、自分を殺そうとしているやつが、その殺し方を自分に教わりに来るとは、考えも及ばないであろう。
「あなたは今、取っておきの名案があるとおっしゃいましたね。それをひとつご伝授願いたい。さだめし、すばらしい名案でしょうな」
小男は両手をこすり合わせて、舌なめずりをした。
「ぼくの名案というのは、密室ですよ」
「え、密室?」
「探偵小説のほうで有名な、あの秘密の殺人というやつです」
「ふん、ふん、わかります。わかります。それで?」
「つまり、そのへやの内部から完全な締まりができていて、犯人の逃げ出すすきまが絶対にない。それにもかかわらず、そのへやには、被害者の死体だけが残されて、犯人の姿は見えないというやつですね。