轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
殺人前奏曲
この事業は、けっして報酬を取りはぐる心配がないのです」
かれらのあいだの丸テーブルの上には、良斎がさっきからちびちびやっていたウイスキーびんとグラスがあったが、良斎はそのとき、立っていって、飾りだなからもう一つグラスを出してきて、須原の前に置いた。
「一杯いかがです」
と、びんの口をとると、小男は舌なめずりをして、グラスを手にした。
「目がないほうです。しかし、このグラスなら三杯ですね。それ以上はやりません。酔うからです。酔っては商談にまちがいがおこります」
「じゃ、乾杯しましょう」
二つのグラスがカチンとぶっつかり合った。
「ご依頼しました。三人とも消してください。そして、その確証を見せてください。幾日ほどかかりますか」
「ふたりは一カ月もあればじゅうぶんです。しかし、あの黒いやつは、その倍も見ておかなければなりません。まず全体で二カ月というところでしょうね」
「よろしい。それじゃ約束しましたよ」
良斎はそういって、ぐいとウイスキーを飲みほすと、さも楽しそうに笑いだすのであった。
殺人前奏曲
篠田昌吉と川波美与子のふたりは、あの晩は覆面の男の麹町のアパートに一泊して、その翌日、百万円を預金通帳にしてもらって、それを受け取ると、黒覆面の世話で、その日のうちに、墨田区吾嬬町の小さなアパートにひと間を借りた。