轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
致命傷は顔面から頭部の貫通銃創とわかっていても、こういう異様な事件では、いちおう解剖の手続きをする慣例であった。
やがて、救急車が呼ばれ、死体が運び出されたが、それとひきちがいに、ひとりの妙な男が、一同の集まっている庭のほうへ、のこのことはいってきた。めがねをかけ、濃い口ひげのある三十五、六歳のりっぱな紳士だ。被害者の友人が、何も知らないでたずねてきたのかもしれないと思ったので、ひとりの警官が、そのほうに近づいて声をかけた。
「どなたですか。今、重大な事件がおこって、ごらんのとおり、とりこんでいるのですが」
「わたしはこの近所に住んでいる松下東作というものです。職業は弁護士です。ここのご主人とは知り合いでもなんでもありません。実はさっき、作蔵という出入りの仕事師が、わしのうちへやって来て、殺人事件のことを話していったのです。あなたがたに頼まれて、掛け矢でドアを破ったあの男ですよ。あれの話によると、被害者の倒れていたへやが、内側から完全に締まりができていて、犯人の逃げた方法がわからないということですね。つまり、密室事件というわけでしょう。それについて、ちょっとわたしの考えをお耳に入れたいと思いましたのでね」