轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
「いったい、そんな会社を、いつから始めたのです。そして、今までに、どれほどの業績をあげているのです?」
春泥はハイボールの残りをグイと干して、こちらも平気な顔でたずねた。
「オーイ、お代わりだ」
小男はびっくりするような大きな声で、ボーイに命じた。ふたりの話を人に聞かれても平気だという大胆不敵の態度である。しかし、かれは要所要所では、けっして漏れ聞かれないように、綿密な注意を怠ってはいなかった。やっぱり、かみそりのように鋭い男だ。
「まだ一年にしかなりません。こういう事業の相談がなりたつのには、よほどうまい条件がそろわないとだめなものですが、ぼくら三人はその点では申しぶんなく気が合っているのです。古風にお互いの血をすすり合うというようなまねはしませんけれども、それ以上の仲です。生死を共にする仲です。そういう三人が偶然知り合ったから、うまくいっているのですよ。
みんなインテリです。鋭い知恵を持っています。ぼくは学者くずれ、もうひとりの男は評論家くずれ、女は女医くずれです。
業績ですか。ぼくらの会社はこの一年間に、三十人をこの世から抹殺しています。もっとも、二十五人は集団殺人でしたがね。