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しそうとしてのぶんがく

思想としての文学

戸坂 潤

「思想としての文学」三笠書房、1936(昭和11)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,809 字 · 408 页

青空文庫

必要なことはこうした実体が何等かの機械作用に於て一定の項として組み入れられることであり、或いはこの実体間の落着すべき関数関係乃至機能関係を見出すことだ。

横光は好んで偶然とか必然とか、又常識とかを問題にする。それから当然なことだが弁証法や連続という問題にも触れている。だが横光では、之は一寸考えられるように、現実の事物の動きに注意を集中した結果出て来る問題ではない。寧ろこうした現実から「文学技術的」に抽き離されて機械作用の内に出て来るメカニズムの要素として初めて意識されているものに過ぎない。ここに偶然とか必然其の他というものの横光の範疇論の皮相さが結果するのだが、それと同時に、横光のこの機械主義が、いつしか文学技術そのものと不可離に結びついているような想定を呼び起こす点があるのである。つまりリアリティーのもつ機械作用や関数関係は、実は、云わば文学技術そのものを文学技術の対象にしたことに他ならないというような意味を持って来るので、文学技術が文学技術の食いものになっていると云ったようなこの特色が、取りも直さず横光のアカデミシャンらしい技法の色々の優れた諸結果を与えているのだとも見ることが出来る。